同市にあるアメカジ系セレクトショップ「FORTY NINERS」のオリジナルジーンズなのですが、元々、大阪・豊崎のジーンズリペアショップ「WOREKS」の服部さんに教えて頂き、知りました。
その後、雑誌やネットなどで見かける度に必ずチェックしていたのですが、これを書いている今現在、僕は世界最高のジーンズだと思っています。
この世界最高のジーンズ「ONE PIECE OF ROCK」を作っておられるファクトリーはFORTY NINERSから歩いてすぐのところにあるのですが、ここはオープンファクトリーとなっていて、誰でも見学させて頂く事が出来ます。
この日のご縁は、学生時代からの先輩からのリクエストによるもので、元々、彼が2年ほど前に
「若い頃のようにリジットのジーパンをイチから穿いて色落ちさせたいんやけど、何かええジーパンない?」と聞いてきたのですが、その時にこちらのONE PIECE OF ROCKのジーンズとWAREHOUSEのジーンズ、そしてLVC(Levi's Vintage CLOTHING)の3つを提示しました。
結果的に「まずはLevi'sを穿いてみる」ということになり、LVCの55モデルを購入していましたが、「八日市の例のジーパンを一度見てみたい」と何度か言われていて、今回に繋がった形です。
ファクトリーの見学は予約が必要と思っていたので、当初は計画になかったのですが、FORTY NINERSでファクトリーの話になり、「見学出来ますよ」とのことでしたので、見学させて頂きました。
こちらは主に対戦モデルなど40年代の501XXをモチーフにしたモデルが作られている部分で、ファクトリーの約半分ぐらいです。
左手前で作業されているのが代表の小中さん。僕より3つ上の聖徳中のヤンキーだったそうなので、学生時代に遭遇していたら速攻逃げていたことでしょう(笑)
この部分に20台近くのヴィンテージミシンがあり、そのヴィンテージミシンをパーツごとに渡り歩きながら、一人で全行程を仕上げて行かれます。
こんな感じに縫っては移動し、縫っては移動し、と、現在は16台のミシンを操って一本のジーンズを作るそうです。
これは当時の製造方法を再現されているそうで、こうした職人さんを二―ドルワーカーと呼び、ミシン縫いだけでなく、生地の裁断から全ての工程を一人でこなされるそうです。
更に、このビンテージミシンも、例えば「40年代のモデルを作っているのに1950年代製のミシン使ってたら矛盾してるでしょ?」と、必ずその時代に存在したミシンを使って縫われていきます。
「えっ?そこまでこだわるん!!」と心底ビックリしました。
当時のミシンは製造番号などから全て年代がわかるんですって。
16台も操るのは、当時のジーンズを見てもパーツごとにミシンが違うらしく、その違いを徹底的に解剖し、当時のミシンを買ってきては縫って買ってきては縫ってを繰り返し、どのパーツにどのミシンが使われていたかを推理し、それと全く同じミシンを使っているそうです。
徹底的に研究されているので、「全て同じですか?」というともすれば意地悪な質問にも、「そのはずです!現在、知り得る情報で追求した結果が今の形です。」と断定はせず、それでいて圧倒的な自信を持って語っておられたのが印象的でした。
それでも勿論、もっとベストなものが見つかれば躊躇なく変更するとも仰っていて、どこぞの日大フェニックスの元監督に見習ってほしい圧倒的な姿勢でした。
それで・・・つまりですね、16台のミシンの正解に辿り着くには、16台ミシンを買えば良いものではなくて、買っては来たけど使われていたものとは違ったものであったり、また1台でも欠けると同ブランドのジーンズは作れなくなってしまうため、部品取りや故障時の代用ミシンも必要で、その何倍ものミシンが必要ってなことになります。
それで、現在、こちらのCONNERS SEWING FACTORYには約350台のビンテージミシンがあるそうです。
凄いでしょう?
ちなみにね、こちらはかの有名なユニオンスペシャル。
裾を仕上げるミシンですね。
これを1台導入するだけで「ウチはユニオンスペシャルを使って裾上げします。」と宣伝できるほどのミシンです。
このユニオンスペシャルだけでね・・・
11台あった(笑)
またこうしたビンテージミシンは現在のミシンのようなデジタル制御な部分はないので、メンテナンスや修理をして使ってあげると相当、長持ちするのですが、そのメンテから修理も小中さんがご自身でされているそうです。
しかも、ビンテージミシンはユニオン(UNION)とシンガー(SINGER)に分かれているのですが、双方が当時、技術などをパクられないように独自規格のネジを使っていたらしいのです。
同じインチ数でも「ユニオンインチ」と「シンガーインチ」があるのだとか。
なので、その当時のネジなども大量にストックされているそう。
「ONE PIECE OF ROCK」のジーンズはこうした圧倒的なこだわりと徹底的な努力、グンバツの情熱と最高の技術で作り上げられています。
生地は岡山児島の機屋さんと直接契約し、XXの色落ちと質感に徹底的にこだわられて作られた生地を使っておられます。
ちなみに、このファクトリーにはもう一人ニードルワーカーさんがおられ、その方は50年代のジーンズを担当されているそうで、そちらはエントリーモデルで、メインモデルであるS409XXX M-WWⅡなどに比べ、約半額の価格設定となっております。
あと個人的に圧巻だったのは無造作に掛かっているビンテージの数々。
これは圧巻。
勿論、資料用なので購入は出来ません。
いやー圧巻。
どうして僕が「ONE PIECE OF ROCK」のジーンズを世界一だと思っているか、その理由を垣間見ていただけたのではないでしょうか。
ただし、最高だったのはそれ以上に小中さんとスタッフさんのお人柄。
急に来た僕達にも丁寧に、そして情熱的にお話しをしてくださり、電車の時間でケツがあった僕らに「何時に乗るの?」と聞いてくださり、電車の時間を伝えたところ「大丈夫!あと2分ある!あと2分喋れる!!」と2分を惜しんでお話しをしてくださったのはとても感動しました。
まあ、なんちゅうか、世界一のものは世界一の人たちの手で作られるんですよね。
リジットからジーンズが穿きたくなったら是非、「ONE PIECE OF ROCK」のジーンズを。
ちなみに現在、小中さんの作られる対戦モデルなど40年代のモデルは10ヶ月待ちだそうです。
「こんなん恥!もっと早く届けたい!」と恐ろしい努力を繰り返しながら、まだ上を目指されていましたよ。
いやはや凄かった。なんかまだ書き足らん気がするほど・・・
恐ろしい。どえらいものを知ってしまった。
関連:世界一のジーンズを発信するショップ「FORTY NINERS」へ行ってきた。
関連:ローカル鉄道に乗り滋賀のローカルショップ巡りの旅
参考:CONNERS SEWING FACTORY公式サイト
基本的に同ブランドのオリジナルジーンズは別注先やイベント以外では現地に行かないとなかなか手に入らないのですが、エントリーモデルの方はWEBでも購入が可能です。
おわり。